流木・廃材からのものづくり

 

私たち夫婦は小さいころから祖父母が大好きでした。優しく暖かなまなざし、なんでも受け入れてくれる包容力、そばにいるだけで落ち着きました。

 

そんな祖父母に叱られることがありました・・・それは、ものを粗末にするとき。

 

広告の裏面をメモ帳にし、使い古しのタオルは雑巾にし、外食時にはあらかじめ食べられる量にしてもらう。

声無きものへの畏敬の念を忘れない姿勢は、自分たちも年を重ねるにつれて大切なことであると思うようになりました。

 

海に流れ着いた流木、道端に転がっている錆びついた金属、手に取らなければそこで朽ちてゆくものたち。

しかしその佇まいは美しく、魅力的で、私たちに訴えかけてきます。

「まだできる」・・・

 素材と向き合ってできあがる作品は、創っているというよりも、創らせてもらっているような不思議な感覚を抱きます。

 

流木は川から海に流れ、荒波を越えて再び陸に流れ着きます。その形は角が取れ、丸みを帯びています。深みがあります。

なんだか祖父母に似ています。だからここに行き着いたのかもしれません。

 

作品は一つとして同じものはできません。

そんな作品たちが、巡り合う方たちの生活の中に息づき、目にしたとき、

フッと力が抜けるような存在になりますように・・・との思いで制作しています。